
作品名: | 奥様はネットワーカ -Wife at Net Work- |
著: | 森博嗣 |
イラスト: | コジマケン |
出版元: | メディアファクトリー |
文庫初版: | 07/04/28 |
帯コピー: | 「こんなにあなたのことが好きなのに、 どうして、私の気持ちは伝わらないのだろう。」 |
<備考>
裏表紙にハードカバー時の表紙イラスト。
巻末にコジマケンおまけ漫画「俺様はネットワーカ」収録。
※ネタバレあり
読んでる間は楽しく読めたけど、
人物叙述一本を柱に作られたシンプルな構造故にか満足度はやや低い。
この内容ならもう少し短くても良かった気がする。
全体の雰囲気も動機を始めとしていつも通りの森作品であっさりライトな感触。
ノンシリーズなので普段とは違うオリジナリティを期待してたけど
思ってたほどではなかったかな。
ただ、視点人物の頻繁な切り替えは良かった。
飽き難くさせるというメリットを残しつつ、
コジマケンのイラスト+人物名により、
視点人物の判りにくさでフラストレーションが蓄積されるというこの手法のデメリット・ウィークポイントを上手く回避している。
通し番号のギミックも単純ながら新鮮さを感じられ、面白い。
イラスト+タイトルで作風を欺くという仕掛けもなかなか。
〜雑記〜
■HN
特に仕掛けもなかったハンドルネームの必然性って……。
作品をライトに仕上げようとしてのことだろうか。
そして内野智佳の電波性演出の一環なのだろうか(彼女のみ実名と乖離していて「スージィって何だよ」と思わせられる)。
■「私を殺して」
夢野久作の『冗談に殺す』は森先生の琴線に触れる何かがあったのだろうか。
最早夢野久作は関係なく自ら死を望む台詞や感情自体に思うところがあるということだろうか。
夏のレプリカを皮切りにこの台詞を見たのはこれで三度目な気がするが(しかし二度目が何だったか覚えてない)、
森先生、かなり気に入っているのか。
■叙述
居酒屋シーンでスージィが電話してた相手って誰だ? ってのは愚問か。
読み返してたらこれはちょい卑怯だぞと思った次第。他にもありそうな気もするけど、
「電波でサイコだから」で大抵納得できてしまうのか。いや、素直に上手いと思える部分の方が多いけどさ。
それはそうとまだ人物を記憶してない『スージィ(1)⇒サエグサ(1)』の下りで人物表に目を通し、
「何でメイン二人が離れてんだ? 夫婦だろ? スージィとサエグサを主軸とした物語だろ? サエグサの紹介位置おかしくね?」
と思えたのは今思うとファインプレーだ(極めて主観的に見て)。
しかし帯のコピーで既に電波っぽさを感じられてしまうのはいかがか。
印象的で良いコピーだけれども。
■スージィ
電波でサイコなのに男にもてている。
僕のイメージのサイコさん(女)は(サイコという正体がバレてなくとも)決して男に好かれないのでスージィ=サイコとは予想だにできずラスト付近はまさかまさか。
ところで彼女、何故日記を見られていたことに気付いたのでしょう。これも愚問か。
■サエグサ
助教授という立場も相俟って僕的に森先生を投影せざるを得なかったキャラクタ。まさかそんなところも確信犯的に利用されてたのではあるまいな。利用? 利用って何にだ? さぁ。
■ホリ
妄想狂と思いきや比喩を交えて真実を話していたという……。
しかし彼にはもっと気持ち悪いことをして欲しかった。
期待していたのに日記を覗いておいて何もしないとは……。
本作前半の緊張感は間違いなく彼の存在に拠るものだったのに……ちょっぴり肩透かし気分。
もっと悪事を働きやがれ。
■アンコール
辛いところ。
森節だ。誰が読んでも森先生だ。日記でも読んでる気になる。いや、日記ならいいけども。
割り切れない気持ち悪さというか、この手の作品をライトに仕上げようとする考えに理解が及ばない。何の説明もないまま急にメタに持ってってこういうことのできる森先生は凄いな。「は?」ってなったよ。
■詩
辛いところその2。
頭が混乱するじゃないですか。
これはちょっと斜め読んでしまうぜ。斜め読まざるを得ないぜ。
ストーリーに幕間を挟むことで読者の思考を煙に巻こうとする意図が? 果たして−−。
【08/12/03 追記】
そう言えば珍しく解説がないな。おまけ漫画があるからか?
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